題詠blog2013のお題を借りて(4)

008:瞬
少年は踏み切り線へ走り込む跳ぶ瞬間にすべてを賭けて

010:賞
この三年頑張った賞の金メダルそっと自分の首にかけよう
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母子避難

地震だけならば残れたかもしれぬ原発事故がすべてを変えた

避難したくてもできない ガソリンが、ガソリンが町に届かないのだ

基準超えの被曝を示す数字だけ突きつけられる県のサイトで

出発のバスターミナルで急遽撮る全員マスクの家族写真を

ランドセル、文具と次々送り出し子どもの気配が消えていく家

譲られた食器の埃を洗いつつ初めて気づく我も被災者

原発と汚染が引き裂く父と子の時間をメールで繋ぎ合わせる

スーパーの床に膝つき叫びたいどの食品が安全ですか

奪われた食の楽しみ取り戻す闘いとして焼くメロンパン

三ヶ月ぶりの父に駆け寄るその速さ 吾子の笑顔が弾む無人駅

甲状腺検査受けさせるこんな目に遭わせるために産んだんじゃない

今のこの日本に生きる悲しさを三十路で逝ったあの友は知らず

避難者十五万の涙を置き去りに推し進められてゆく再稼働

儲かれば安全要らぬ人命も要らぬと叫ぶ推進派たち

兄弟で笑い合う日々が君たちを強く支えてくれますように

妻と子を西へ逃がしたフクシマの若き父たちの勇気を思う


うたの日「避難」のお題で作った私の歌(5首目)が拙くて、母子避難の歌だということが伝わらなかったようなので、他の歌も作って合わせて並べてみました。以前に「題詠2014」などに出した歌も入っています。

「うたの日」投稿作品(10月)

2014.10.8 「親」
母という地平を蹴って空高く離陸してゆけ吾子十五歳

2014.10.9 「置」
月食に沸く子どもたちと空見上げ天の川の位置教わっている

2014.10.10「トイレ」
何年も消されぬままに残された中絶の悩み打ち明ける文字

2014.10.11「デジタル」
遥かなる過去をPCに引き寄せてデジタルアーカイブで読む明治

2014.10.12「if」
ためらって振り向くたびに陽炎のように揺れてるたくさんの「if」

2014.10.13「勇」
真っすぐに踏み切り線へ走り出す 跳ぶ少年の日に焼けた肌

2014.10.14「透視」
丁寧に乳房を装置に挟み込む技師の優しさマンモグラフィー

2014.10.15「飛行機」
四歳児に請われて折れば「これちがう」と折り直されている紙飛行機

2014.10.16「金色」
今日こそは金のエンゼル当てようと大議論中の大学売店

2014.10.17「体重200kgを超えた体で一首」
風船とリボンで飾った5トントラック飛ばして私をさらいに来てね

2014.10.18「免許」
親になる免許などなくひたすらに子らとの日々を抱きしめ走る

2014.10.19「引」
星々は永遠に引き合う 僕たちはそっと手をつなぐ夜空の底で

2014.10.20「庭」
裏庭の木立の中の秘密基地 木漏れ日が包む子どもの時間

2014.10.21「不安」
学校に行くのが怖いという君を受けとめきれぬ小さき器

2014.10.22「つつ」
つつつつつっとせきれいは歩く軽やかなダンスの音楽聴いてるみたいに

2014.10.23「史」
世界史の先生の板書読めなくて密かに解読進む教室

2014.10.24「不思議」
誰もいない部屋に灯りがつく 亡くなったおじいちゃんねと嫁が振り向く

2014.10.25「パスタ」
アルファベット型のパスタを茹で入れて野菜スープが御馳走になる

2014.10.26「デニム」
あどけなさ残る笑顔で大人へと駆け上がってゆくブルージーンズ

2014.10.27「偽」
本質をまだ知らぬまま「偽善」とか「自己満足」を誹る少女たち

2014.10.28「豆腐」
できたての肉豆腐出して食卓に子らが持ち寄る一日を聴く

2014.10.29「尽くす」
庭を覆い尽くす勢いで増えていく小さな若木の思惑を摘む

2014.10.30「三十路」
今のこの日本に生きる悲しさを三十路で逝ったあの友は知らず

2014.10.31「悪戯」
トイレットペーパー家中引き回し二歳児が描く無限のメビウス
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