題詠blog2013のお題を借りて

題詠blog2014の百首を無事に詠み終えましたが、引き続き、勉強のために題詠を続けることにしました。
今回は、昨年の題詠blog2013から、お題を拝借いたします。題詠blogを主催されている五十嵐きよみ様、お題の使用の許可をありがとうございました。

今回は、題の番号の順にはこだわらず、詠めた歌から順次アップしていきたいと思います。
おそらく百首全部は詠めないと思いますが、短歌を詠むための糸口としてお題を使わせていただき、自分の詠みやすいものから少しずつ作ってみます。

001:新
新入学進級新年度新学期しんしんづくしの四月到来

新しき星座のように友の名をWikipediaにて見つけておりぬ

004:やがて
やがてまた元素に還るその日まであなたは花でわたしは人で

005:叫
スーパーの床に膝つき叫びたいどの食品が安全ですか

006:券
幸せへの特急券が欲しくなる日もある今日もとぼとぼ歩く

007:別
山猫の馬車別当にみちびかれ心は遥か賢治の山へ

009:テーブル
テーブルの厚みも木目も傷跡も子らの記憶にやさしく残れ

016:仕事
赤ちゃんは泣くのが仕事 中学生は反抗するのがお仕事である

028:幾
幾重にも雨のベールが下りてきて山と私を白く隔てる

029:逃
全力で走って逃げる寂しさに追いつく時間を与えぬように

031:はずれ
柔らかきはずれ(葉擦れ)の音に包まれて木々の梢を見上げていたり

034:勢
楽しみにしていた録画はきょうだいが勢揃いして見るのが流儀

041:カステラ
カステラの律儀なまでの明るさに大事な話を切り出せぬまま

059:永遠
(サルバドール・ダリの展覧会で)
永遠に落ちる卵をいつまでも見ていた『ポルト・リガトの聖母』

068:兄弟
兄弟で笑い合う日々が君たちを強く支えてくれますように

079:悪
じゃがいもを悪者にして夕飯の支度が遅れた言い訳をする

083:霞
あの山の霞み具合で本日の大気汚染の数値をはかる
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夏の只中

気がつけば夏の只中 日盛りの浜辺の町に車走らせ

水撒けば次々飛び出す雨蛙 庭一面にいのち満ちてる

夏を告げる道標のようにすっきりと薄紅の蓮(はす)咲く通学路

ラジオから大人の誠実溢れ出す 夏休み科学電話相談

雑詠 2014年2月〜7月

ぷつぷつと崩れゆくものコーヒーのドリップの泡じっと見ており

前へ前へ自転車のペダル漕ぎ続け炊事洗濯掃除また炊事

かるがると架空の世界に舞いあがる妖精の羽いつ失くしたの

残りご飯かき込む昼餉私は私でしかない残念ながら

流感の熱に炙られぎりぎりと締め上げられる四肢となりたり

とおろりと湯船のお湯に包まれる葛饅頭の餡子みたいに

歩み来てふと立ち止まりまた戻り言葉の迷路を今日も出られず

さくさくと鋏動かし羊の毛刈り取るように雑草を剥く

何一つ夢見ることなく庭の草毟り続ける機械(ルンバ)になりたい

できたての地球の如き灼熱のトマトソースを煮る神である

雨雲の薄衣を纏い山々はカルピス色の空に溶けゆく

くるくると皿を洗う手このほかにいったい何を成し得ただろう

未来などわからないから今はただ笑って義父母と見上げる花火

題詠blog2014 百首まとめ

題詠blog2014に参加した作品をまとめました。
こうして振り返ると、素人でも駄目なのがわかる歌もたくさんありますが…。
短歌を詠む最初の一歩として、この百首に挑戦できて楽しかったです。
私のような全くの素人でも参加できる懐の深いイベントを、長年続けていらっしゃる五十嵐きよみ様と、運営にかかわっていらっしゃる皆様に改めてお礼申し上げます。また、私の拙い歌のかずかずを読んでくださった皆様、ありがとうございました。

このブログのURLは、最初の一首に詠んだ「おおいぬのふぐり」の別名「星の瞳」から取りました。


001:咲
道端に青紫の星々が散らばって咲くおおいぬのふぐり

002:飲
飲み込んだ怒りを強く握りしめ小石に変えて泉に放つ

003:育
体育館に全校児童の歌声が祝福のように満ちてゆく朝

004:瓶
申し分のない幸せな一日を小瓶に詰めて未来へ流そう

005:返事
ごはんだよと呼んでも返事をしない君 きっと月まで行ってるんだね

006:員
パパ船長!御帰還お待ちいたします 乗員五名今日も無事です

007:快
子どもたちの口論続き不快指数うなぎのぼりの夕食準備

008:原
原発と汚染が引き裂く父と子の時間をメールで繋ぎ合わせる

009:いずれ
いずれまた君と暮らせるその時は子どもはみんな巣立っているね

010:倒
倒立が流行りて和室の壁めがけ次々に脚を蹴り上げる子ら

011:錆
自転車の錆びたチェーンに降り積もる日々の記憶が刻まれていく

012:延
次に会うまでが遠いからこの現在(いま)に延長記号(フェルマータ)つけて もう少しだけ

013:実
確実に兄の犯行 下の子が届かぬ高さの障子の穴は

014:壇
壇上でお辞儀をする位置並ぶ位置 全て決められ動く卒業式

015:艶
何もかもままならぬ日々テーブルを磨けよ磨け艶が出るまで

016:捜
なくなった人形のため手作りの貼り紙を出す捜索チーム

017:サービス
サービス券忘れるたびに「もったいない」と残念がってくれるレジ係

018:援
声変わりした歌声がグラウンド揺るがし響く応援合戦

019:妹
妹のもつれた髪を梳きながら『どうぶつの森』を共に見る兄

020:央
中央分離帯のツツジの葉の先を蝕むアメリカシロヒトリの巣

021:折
折り鶴を何度折っても少しだけ崩れてしまうくちばしの先

022:関東
そこは今何シーベルトか問うてみよ関東平野をわたる気流に

023:保
保健委員の話題の時は必ず「乱太郎と同じ」と言う五年生

024:維
ほらもっと食物繊維を摂らなくちゃ口うるさいのも母の証明

025:がっかり
Wikipediaの「世界三大がっかり」のページを子どもに見せられており

026:応
きょうだいで育つ豊かさ冗談と笑いの応酬止まぬ食卓

027:炎
(三岸節子展にて)
色彩が炎のごとく発光し突き倒すほどに我を圧する

028:塗
湯上がりに湿疹の薬塗ってやる 母子の貴重な時間(とき)かもしれず

029:スープ
濃厚なスープの如き言葉の海から一筋の歌を釣り上げる 

030:噴
点鼻薬噴霧し終えてゆっくりと吾子は眠りの海に漕ぎ出づ

031:栗
庭に埋めた団栗三つ芽を出して二度目の秋へ歩み始める

032:叩
やわらかく叩くキーから撃ちだした言葉の群れを夜空に飛ばす

033:連絡
連絡を取りたくないのはあの頃の無邪気な私はもういないから

034:由
犬かきも「自由形」だね それぞれの泳ぎ見届けるプール参観

035:因
原因は疲れてるだけ この不機嫌、お風呂に入れば溶けちゃうレベル

036:ふわり
側転しふわりとマットに降り立つ子 少年の日の脚の細さよ

037:宴
子どもとの月の宴はとりどりの形に作った団子を食べて

038:華
大人へと少し近づく おかっぱの髪から覗く華奢な首筋

039:鮭
甘やかな鮭色に塗ったキャンバスに夢を描いた日は遠くなり

040:跡
右肘にうっすら残る傷跡は手術の痛みを越えた勲章

041:一生
わたくしのこの一生も悠久の時の大河に浮かぶ一滴

042:尊
傷ついた自尊心守るバリケード 羽化するための思春期の繭

043:ヤフー
千円で買わされたあの偽ダイヤフードコートに置き忘れた夏

044:発
午前五時 始発列車の最後尾で手を振る君が遠くなってく

045:桑
桑の実と木苺こぼれる初夏の庭 「ボウルちょうだい!」と呼ぶ声がする

046:賛
保母だった母を送りし日の歌は子ども賛美歌「ひかりひかり」

047:持
持久走大会興奮醒めやらず我が子の成長語る母たち

048:センター
虫の脚みたいな部品がびっしりと並ぶ静寂 ラジオセンター

049:岬
岬から遥かに見えた海と空の境目がゆるく溶けあう彼方

050:頻
頻出の単語に赤い線を引く少女が古びた辞典の中に

051:たいせつ
破られて一層強く「たいせつなこと」訴える『アンネの日記』

052:戒
いつまでも心に刺さる失敗を戒めとして抱え続ける

053:藍
老店主と歩む月日が風格となる藍染めの印半纏

054:照
受賞作の前に立たされ照れた子は硬い表情でカメラに収まる

055:芸術
夢の宇宙小さな箱に閉じ込めて芸術とせしジョゼフ・コーネル

056:余
泣く余地も与えぬほどに歯切れよく感謝の手紙を読み終える吾子

057:県
投票に何度行っても変わらない日本の悲しさ県知事選挙

058:惨
美しく詰め終えたとたん弁当をひっくり返す惨劇の朝

059:畑
田も畑も雪でうずまり純白に広がる砂糖菓子の平原

060:懲
懲りもせず再稼働などとなぜ言えるメルトダウンから僅か三年

061:倉
競技かるた始めた娘を追いかけて覚える小倉百人一首

062:ショー
風呂上がりタオルの巻き方工夫してにわかファッションショーが始まる

063:院
色褪せた健康機器のポスターが貼られたままの整形医院

064:妖
チョコレートのおまけの花の妖精のカードを大事に集めていた日

065:砲
かたばみの実は空仰ぐ高射砲 触れれば弾ける種子の弾丸

066:浸
蓮根を酢水に浸ける一手間を繰り返すことが生きていくこと

067:手帳
まっさらな手帳のページが開かれる 風光りだす入学の朝

068:沼
沼底のように静まる講堂に座り式辞の終わり待つ子ら

069:排
けなげにも「産む性」である 月ごとに排出される血の鮮やかさ

070:しっとり
脱衣所で涼むおばちゃん しっとりと上気した肌のそのうつくしさ

071:側
やわらかく側頭葉に包まれて良き日の記憶健やかであれ

072:銘
銘茶だから銘菓だからと喜べぬ時代を呼びし原発災害

073:谷
茗荷谷駅から五分の通学路 春色の服で駆け抜けていく

074:焼
焼き過ぎたバナナケーキのはしっこを「クッキーみたい」と奪い合う子ら

075:盆
彼岸まで突き抜けるような星空が見守っている盆踊りの輪

076:ほのか
天板に仲良く並ぶマドレーヌほのかにレモンの香立て始める

077:聡
聡明と無謀を纏いプラナリア狩りに出かける長靴少年

078:棚
色褪せたアニメのノートが文具屋の棚で地層になって微笑む

079:絶対
雑草のいのち奪いつつ絶対に譲れぬものとは何かを思う

080:議
本日の議題はこの夏休みにパパとどこに出かけるかです

081:網
食べ終えたみかんの網はかぶるため ダンボール箱は入るためにある

082:チェック
400円で買える幸せ見つけたよパステルカラーのチェックの布巾

083:射
自分には落ち度はないと言いたげな冷たい瞳で我を射る吾子

084:皇
若菜摘む皇子の優しさ千年の時を経てなお歌に残れり

085:遥
9000km 遥かな友の温もりが今年も届く国際便で

086:魅
屈託なく笑う乳児に魅了され周りの大人も笑顔に変わる

087:故意
故意ならば謝りなさいもし故意でなくても痛いよ謝りなさい

088:七
七月がまたやってくる祝福とともに世界に出会った季節

089:煽
強風に煽られぶつかりきしみ合い鳴り続けている竹、竹、竹、竹

090:布
蹴飛ばした布団かけ直しかけ直し日々重ねてゆく親子の時間

091:覧
夢やさしローランサンの展覧会 見ている私もふわり浮いてく

092:勝手
あと何度勝手な振る舞い咎めたらお役御免になるのか親は

093:印
紙に残る文字の凹みに君の気配まで刻印するタイプライター

094:雇
子どもから雇用通知を拝受する「ママ、寝る前に絵本を読んで」

095:運命
運命と呼びうるまでの、運命と受け入れるまでの長い道のり

096:翻
狭すぎる水槽の中ゆっくりと回り続ける翻車魚(まんぼう)哀し

097:陽
ぽっかりと暖かな陽射し悲しみも辛さもこの世にないかのように

098:吉
私にも一つください吉備団子百人力の母になりたい

099:観
次の子の教室へ行くタイミング計りかねている我が参観日

100:最後
最後にはきっと見つかる 私だけの三十一文字のドア開く鍵

完走報告(文乃)

五十嵐きよみ様、皆様、ありがとうございました。「006:員」と「024:維」の歌の件名に作者名を記入し忘れてしまい、申し訳ありません。この場を借りてお詫び申し上げます。
以前から短歌に興味はあったのですが、どう作ればいいのかわからずに年月が過ぎました。今回、どんなに下手でも変でもいいから、百首詠んでみようと思い、参加させていただきました。
解き方のわからない百個のパズルを解いているような感じでした。自分には縁遠いお題も多く、イメージを広げて自分の詠める範囲に近づけるのが難しかったです。新たな単語やアイディアを思いついた時に、鍵穴にさした鍵がかちりと回ってドアが開くように、思いがけない歌が生まれてくる気持ちよさを感じました。きっと、このお題を解く私だけの鍵がどこかにあって、いつか必ず見つけることができる。そう思えるようになって、難しい題でも焦らなくなりました。
できあがった百首には歌とは呼べない平板なものも多いですが、自分にとっては大切な第一歩になりました。素敵なイベントに参加させていただき、本当にありがとうございました。

100:最後(文乃)

最後にはきっと見つかる 私だけの三十一文字のドア開く鍵
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